2023年01月14日

ゆめ工房だより からの転載

< 賛 歌 >
 
「ジグザグ讃歌 」 

子どもの発達も
人生の軌跡も
登っては下り 進んでは戻る
病んでは癒え 泣いては笑う
しばし停滞、急な飛躍
ジグザグあればこそ
子どもは鍛えられ
人の心は豊かとなる
人類の進歩も
社会の歴史も
そのジグザグの
紆余さらに長遠
曲折はるか複雑
幾百千万 生命かさねて
開く道 子孫に託し
人類は未踏の道を行く
ジグザグ道よ 私を
私たちを 鍛えておくれ 


この詩の作者は元日本福祉大学教授の近藤薫樹さんです。
昨秋、この詩を幼なじみの美希ちゃんから教わりました。
彼女は学生時代、滋賀県にある近江学園という障害の重い人たちの暮らす施設で住み込みバイトをしていました。
「着ていたジャージを(入所者に)ビリビリにされちゃってさー。もぉ、目が点よ。」と
屈託なく笑う彼女に、当時20代だった私は(大変そうだけど面白そうな世界だな)と思ったものです。
あの頃の彼女の口ぐせは「(障がいのある)メンバーにとって、(その判断は)どうなのか?」でした。
この仕事への向き合い方のベースを、彼女から教わった気がします。

あれから四半世紀。

近江学園が「この子らを世の光に」という言葉を残した糸賀一雄氏の創設した知的障害児の入所施設だったことに気がついたのは、
この詩を教わってからです。

下りても戻っても病んでも泣いても、しばしの停滞さえも讃歌ととらえる人生観…。
ジグザグ讃歌を読んだ時、胸が震えました。
これまで、困難は自分を高めるチャンスと捉えていました。
けれど人生の折り返し地点に立つ私にこの詩は
「そう勢いに任せて動きなさんな。少し歩みを緩めなさい」と言ってくれたような気がします。


2023年が始まりました。
今年もwithコロナを模索しながら、前進と後退、しばし停滞を繰り返すのでしょうか。
「会社の寿命30年説」を意識するなら、ゆめ工房は新しいステージに移ります。

この詩の大らかな視座にならい、どっしり構えてコロナ後の世界を待つことにします。

新しい年が皆様にとって、大切な方と共に、泣いては笑う一年となりますように。

本年もよろしくお願い致します。

施設長 佐々木志穂

posted by machidayumekoubou at 18:38| * Informathion | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月04日

佐々木極さんの写真展が終了しました。

 10月に開催した写真展の佐々木極さんから、メッセージが届きました。



極さん所感画像.jpg
posted by machidayumekoubou at 09:23| * Informathion | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年10月07日

間口

 6月、上野の森美術館で開催された「木梨憲武展 Timing −瞬間の光り−」を観に行きました。
会場に足を踏み入れた途端、絵画、オブジェ、ペインティング、工作、粘土など
多彩な作品が放つエネルギーに圧倒され、心を鷲掴みにされました。
累計来場者数が120万人を超えたというのも頷けます。
アートは時に、作家の喪失感や鬱屈した想いなどが昇華され作品となりますが、
木梨作品の根底には周囲への感謝と人生への肯定があるように感じました。
200余点の作品の中で、並ならぬ熱量を受けたのが「REACH OUT」シリーズです。
その中の一つに無数の手のひら≠ェ円を成す直径160pの作品がありました。
黒のマジック1色で埋め尽くすように描かれた大小の様々な手のひらは、
まるでうごめく生き物のようであり、曼荼羅のようでもあり圧巻の一言でした。
木梨さんの、好きなことに没頭する集中力と、わが道を行く自由な発想は、
ゆめ工房の人たちのそれとおそらく同質のものです。
木梨さんや彼らの作品には力みがなく、観る者に緊張を与えません。
そして本来アートというのは、誰もが気軽に楽しめる間口の広いものなのだと思います。
還暦を過ぎてますます身軽になった感のある木梨さん。
いつか、ゆめ工房の曼荼羅師ユータさんとの創作コラボが実現したら…面白いですね。


 さて、この夏、理事長から絵手紙が届きました。
美味しそうな西瓜に添えられた文に、直接的な表現はありませんでしたが、
理事長の想いがしみじみ伝わり嬉しかったです。
また、賛助会員さんからも折に触れ押し花を添えた手紙やゆめ工房便りの感想を頂きます。
一方通行ではないやりとりに毎回励まされています。
ゆめ工房宛に届いた手紙の数々を読み返すと、
ゆめ工房が皆様と積み重ねてきた関係のありようが伺えます。

ボランティアや賛助会員を終えることを、わざわざご連絡をくださるのも、
ゆめ工房ならではの関係性のありようだと思います。
これまで築いてきた関係に区切りをつける「終わりの美」の大切さを、
私は皆様から学びました。

いつもありがとうございます。

この会報を読んでくださっている皆様とのご縁が、ゆめ工房の財産です。

皆様にとって、実り多き秋となるよう、どうぞ健やかにお過ごしください。 
 
                    施設長 佐々木志穂

               ゆめ工房だより10月号より転載
posted by machidayumekoubou at 11:44| * Informathion | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年09月15日

佐々木極さんの「30周年記念写真展」を開催します。

 ゆめ工房の30周年イヤーを記念して、
佐々木極さんによる写真展を開催します。
皆さまのご来場をお待ちしております。


会 期 2022年10月3日(月)〜10月31日(月)
時 間 10:00〜16:00
場 所 町田ゆめ工房ギャラリー
駐車場 あり



 佐々木さんからご寄稿いただきました。


< “町田ゆめ工房開所30周年記念” に寄せて >

 町田ゆめ工房開所 30 周年おめでとうございます。
心からお慶び申し上げます。

 1992年4月に「つぼみの会 福祉作業所ゆめ工房」として設立されました。
以来 30 年、「一本の木にたくさんのゆめという花が咲きますように」を願いに、
「働きながら自分らしく、このまちの中で、このまちの人たちと 自然に暮らしていくこと」を事業コンセプトに、
相原、多摩地区の福祉に多大な貢献をしてこられました。
ここに敬意と感謝を申し上げます。

 さて5年程前、朝の連ドラ『ひよっこ』で素敵な公園が映りました。エンドクレジットには「相模原公園」と。
さっそくこの公園を訪れました。大きなメタセコイア並木に囲まれたフランス式庭園、季節の花が美しい「噴水広場」、
大きな温室があり外国の見知らぬ美しい花々が。その中にはシアターもありました…。さらに二階にはギャラリーが。
― うん!ここで写真展をしてみたい!
こうして2019年の暮れ、「県立相模原公園グリーンギャラリー」で、個展 『インプレッションズ-心ゆたかに-(全43点展
示)』を開きました。
相原の皆さん、近くの幼稚園の先生と園児の皆さん、著名写真家の元編集者からは「頑張りなさい」と激励を。
画家には海の作品を「油絵で描きおこしたい」と頼まれ、イラストレーターは「海に出かけてみたくなった」と・・・。
いろいろな方々に覧て頂き感激でした。小学生のお子さんからは、作品『スイーツアラカルト2』を覧て、「なんかいもきて
ます。きれいでほんものみたいで、たべたくなりました。」と感想を貰いました。お礼にとクリスマスの写真を差し上げまし
た。お母さんからもお便りを頂きました。スイーツは暖かい交流をもたらしてくれたのでした。

― 写真展にはこうした様々な人達との会話と交流がありました。
そしてゆめ工房の施設長さん、前施設長ご夫妻にもご覧頂きました。
「一枚一枚の写真が詩的でした。何気ない風景を大胆な構図で切り取る、その感性と対象物へのやわらかいまなざしが
どの作品からも伝わってきました。人柄のにじみ出た写真展でした。ぜひ次回は人物にレンズを向け、対話をしてくださ
い。今日は心が洗われました。静かで暖かなひと時をありがとうございました。」と感想ノートに寄せて頂きました。
また後日、その一部の作品を、ゆめ工房さんで展示してくださいました。
こうしたご縁で、春に施設長さんから「30周年迎えるので、写真展をしませんか?」とお声をかけて頂きました。
― とても光栄に思いました。

訪問した際には、利用者さんからも「こんにちは」と自然な挨拶を頂き、中庭で撮影していた時には窓越しに、職員さん
と利用者さんから笑顔の目礼を頂きました。
入口ホールには利用者さんそれぞれが個性豊かに表現されたイラスト、絵やクラフトがあり、素晴らしく思いました。
さて、開催を予定しております「ゆめ工房30周年記念写真展」ですが、
ゆめ工房、相原、生まれた伊豆や旅先での風景、季節の花など撮りためた写真の中から選んだ作品たちを展示します。
― “心ゆたかなひととき”に繋がればいいなと思っております。
Anniversary yearを迎えた”ゆめの工房“へお越し下さい。
― この次には利用者さんたちのイラストや絵画作品たちと一緒に出来たらいいなと思っております。
末筆になりましたが、町田ゆめ工房のますますのご発展をお祈りするとともに、職員の皆様、利用者の皆様、ご家族の
皆様、地域の皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
posted by machidayumekoubou at 09:13| * Informathion | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月22日

嬉しいお客さま

 昨日、突然の電話がありました。
「リキュールケーキは、ありますか?」とのこと。
「種類は少ないですけどありますよ」とお答えしたところ、
「1時間後くらいに行きます」とのこと。
若い男性からの問い合わせでした。

夕方、男性がお二人で来訪されました。
まだ学生さんとのこと。

なんでも、お母さんのお誕生日に差し上げるそうです。
洋酒の入ったフルーツケーキを探していて、
「リキュールケーキ 町田」でネット検索したところ、
ゆめ工房のホームページにヒットしたそうです。

今まで来訪されたことのない年齢層のお客さまで、
なんとも嬉しかったです。

お二人には、薬師池公園の直売所でも販売していること、
直売所には週に一度、納品していること、
お取り置きもできることをお伝えしました。

爽やかな好青年達に、すっかり心が洗われた出来事でした。




posted by machidayumekoubou at 16:44| * Informathion | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする